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第531話 〜2001/6/20〜

■キラーコンテンツ

 BSデジタル機器の売れ行きが低迷している。ここ数ヶ月、前月実績割れを続けているらしい。昨年12月の放送開始の頃は物不足だったはずなのにこの有様である。放送局サイドが「受信装置が高いから」と言えば、メーカー側は「番組がつまらないから」と言い合っている。どちらの言い分も正しい。しかし、そんなことを言い合っているだけでは事態は好転しない。噂ではボーナス商戦開始の今頃には廉価版の受信チューナが発売されているはずであったが、「出た!」とか「出る!」という話は聞こえてこない。

 一方、国内のインターネットの環境では急速にブロードバンド時代が訪れた。そんな中、「キラーコンテンツ」なる言葉が聞こえてくる。「ブロードバンドに向けたキラーコンテンツ」なんて言い方をする。しかし、現時点ではそれはありきたりな動画の配信程度でしかない。何も、映画やプロモーションビデオをパソコンのディスプレィで見ることはなかろう。ましてやそれでは金を払おうという気にはなかなかなれない。レンタルビデオ屋へ走った方が良いだろう。そもそもそんなコンテンツはメディアの載せ換えでしかない。

 新しいメディアが出現する度に「キラーコンテンツ」なんて言葉でそれにふさわしいソフト(=コンテンツ)を求めている評論家の様な人がいるようだが、そんなものは、本当は存在しないと思っている。もし本当に「キラーコンテンツ」があるとすると、それはH、エロ、ポルノに辿り着くと思う。出会い系のサイトというのも直接的でないにしろ、人間の性的欲求に根ざしている。ビデオがこれほど家庭に普及した理由もそうだと私は思っているし、デジカメやビデオカメラをそんな目的で使用して人も結構いるだろう。

 BSデジタルでエロ番組を流せば、視聴率も上がるし、機器も売れるだろう。しかし、こんなことが実現するはずもない。キラーコンテンツは「ある」と言えば「ある」が、世間の表向きには「ない」というのが現実的な様な気がする。

(秀)


第532話 〜2001/6/21〜

■11代目襲名

 先日発表された新型スカイラインにはことのほか落胆した。そして怒った。「おい、おい、これがスカイラインかよ」。きっと、同意見で肯いている人も多いことだろう。遂に伝統の丸テールが消えてしまった。それだけではない。サーフィンラインも消え、直列6気筒エンジンもV型配列の6気筒エンジンに変わってしまった。それに何より、顔つきが違っている。もちろん、格好も良くない。前回のモデルチェンジからわずか3年という、異例のタイミングである。

 日産のWebサイトを見ると、そこには社内でも矛盾が生じている感が窺える。新スカイラインのコンセプトを「原点に帰って、これまでのスカイラインのDNAを活かしたスポーツセダン」と言っているが、スカイラインのDNAがいったいどこに具現化されているというのか?。欠片さえ感じられない。これはスカイラインとして開発された車ではなく、モーターショーで発表されていたコンセプトカー('99年の「XVL」)にスカイラインと名付けただけに過ぎない。

 モデルチェンジと言うのは、歌舞伎などでいうところの「襲名」に似ている。歌舞伎の襲名においては、親戚や一門の意向よりも、興行主である松竹の意向が大きく影響している。今回のスカイラインの発表をこれに置き換えてみると、松竹の経営が傾き(松竹さん、ご免なさい。たとえ話です)、そこにゴーンというフランス人の社長がやって来た。彼のいろいろな立て直し策で、歌舞伎も元気を取り戻していったが、最も多くのファンを持つ、市川団十郎という大名跡を、伝統などをまったく無視したキャラクター、しかもどこか外人風の顔つきの役者に襲名させてしまった。

 「第11代日産スカイライン」はこうして誕生した。襲名披露(新型車発表会)の案内がディーラーから私にも届いたが、迷うことなく、ごみ箱に放り込んでやった。

 - - - - 多分、明日もこの話題 - - - -

(秀)


第533話 〜2001/6/22〜

■そういう車なんだよ

<前話より続き>

 恋をし始めた時、新しい人を好きになった時、実際に会っている時間よりも、離れている時間の方が長いに違いない。しかし、その間にも相手のことをいろいろと思い、あなたの心の中には相手のイメージが棲みついていることだろう。しかもそのイメージは現実よりもかなり美化されている。そのあまりの美化のために会う度にちょっとがっかりしたりすることもあろうが、また会えない時間にそのイメージは修復され、さらに育って行く。まるで、郷ひろみの「よろしく哀愁」のように。

 スカイラインとはそんな車なんだよ。これまでにも何度かモデルチェンジのタイミングで、スカイラインフリークの間に不満の声が出るようなものもあった。ジャパン(6代目)は廃ガス規制でおとなしいマシンになってしまった。7代目はラグジャリー仕様で走りがおろそかになったとか、8代目では直列6気筒を捨て、これまた不満が出た。新しいところでは、先々代が大型化して評判が悪かった。

 おしなべてモデルチェンジする度にいろいろと文句の出る車だった。しかし、それは不人気車だからではなく、愛するが故の声、エールである。それはそれぞれの心の中にイメージ化されたスカイラインがあるためだ。ある人には箱スカだろうし、ケンメリかもしれない。私にはやっぱり、ジャパンだけれども、ケンメリや鉄火面のイメージもある。彼らに「新型スカイラインをデザインしろ」と言うと、それぞれのイメージを元に絵を描くだろう。そして、それらの多くは他人の目にも、「スカイライン」と分かるはずである。

 私がジャパンと言うのは、それが私が最初に買った車だからだ。初恋の人の消息はちょっと気になる。それが、新型発表のニュースとして伝わって来る。それはどこか昔の面影を引きずっていて欲しい。例えば丸いテールランプだったり。ハートもそのまま直列6気筒であって欲しいとか。久しぶりに同窓会で会ったときの彼女(彼)はとても変わってしまっていた。どうもかつての面影がない。性格も変わってしまっているようだ。彼女の名を語りながら、実は全くの別人の様な気がする。一方的なわがままと言われようとも、スカイラインとはそういう車なんだよ。

(秀)


第534話 〜2001/6/25〜

■シンデレラ?!

 休日の朝、洗濯機の音で目が覚めた。リビングからは子供達が見ているテレビの音が聞こえてくる。「今何時ー?」。「もう、9時よ。起きて、起きて」。妻は洗濯機とベランダを何度も行き来している。洗濯機の音と言うよりも、正しくは妻の足音で目が覚めたというのが正しいかもしれない。「洗濯が終わったら、掃除機かけるんだから、早く起きて」。

 渋々起きて、歯を磨き、顔を洗い、そして着替える。「おい、お前達も行くか?」、「どこ?、どこに?」。掃除をするなら邪魔にならない様に子供達と外に出ることにした。本屋にしようか?、マックで朝飯にするか?。「行く、行く!」。「じゃあ、ちょっと出かけてくるから」。「良いなあ、私だけ置いて。私だけ残って掃除か」。「お前はシンデレラかーっ?!」。

(秀)


第535話 〜2001/6/26〜

■効用について

 経済学の用語に「効用」というものがある。文字通り、商品やサービスがどれだけ有用性の観点からみて価値があるかの尺度である。例えば1杯目のビールは非常に美味い。ところが2杯、3杯と進むにつれて、だんだんその美味さは薄れていく。この美味いと感じるのがビールの効用であり、次第に単位あたり(例えばビール1杯毎)の効用は小さくなっていく。

 やがて、単位あたりの効用ゼロになり、それ以降は、マイナスに転じてしまう。飲み放題や食い放題で元を取ろうと詰め込んでしまうと、せっかく食べた満足感も台無しになってしまう。「あのときやめておけば良かった」では、元も子もない。

 効用は個人によって違うし、モノによっても違うが、その効用は一般にその商品を消費することで得ることができる。ここで疑問。宝石の持つ効用とは何だろうか?。装飾用の宝石は消耗することもなければ消費することもない。見たところで、触ったところで、減るものではない。と言うことは、眺めて、「ああ、綺麗だなあ」と思うこと、それに所有することの満足感を加えたものが宝石の効用と言えるだろう。

 あるものは10万円。また、あるものは100万円。仮に質量の差に10倍の差があろうと、「ああ、綺麗だなあ」という気持ちに10倍の差があるとは思えないし、所有することの満足感に10倍の差があるとも思えない。人はこの効用を求めて、金を商品に投じているはずだが、最終的に物欲は理屈ではないようだ。さらなる考察を待って欲しい。

(秀)


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