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第56話 〜1999/6/30〜

■ブックメーカー

 テレビの深夜番組の善し悪しは、その数年後のゴールデンタイムの番組に影響を与える。若手芸人にとってそれが登龍門だからである。そういう意味では不況の今は制作に金がつぎ込めないため苦渋の時期と言える。古い洋画や通販番組の多さからいくと斬新なゴールデンの番組というのにはしばらくお目にかかれないかもしれない。しかし、あの通販番組、水商売帰りの人には好評らしい。

 そんな深夜とは言えないが、7,8年程前に「テレビブックメーカー」という番組があった。その名の通り、賭事の番組である。出演者を紹介しよう。まず、ディーラー役は前田武彦である。賭けを行うプレーヤーは毎週交代で3人ずつ出て来るが、秋元康、黒鉄ヒロシ、鴻上尚史、糸井重里、栗本慎一郎らである。彼らのいでたちはタキシードである。30分番組で問題は毎週2問出される。番組の冒頭は前回分の答え合わせと配当である。そして、その問題が結構どうでも良いようなものである。具体的には、「次回放送の大岡越前の判決は何か?」、「来日した2日間のうちにゴルバチョフ大統領(当時)は何本のネクタイを締めるか?」、「ドラマ○○の最終回の視聴率は幾つか?」、「○○百貨店でバレンタインチョコとして最も売れるブランドはどれか?」などである。

 その後に賭けのための参考データとして、それぞれのポジティブファクターとネガティブファクターのVTRが流される。賭けの対象とオッズの配分も面白い。大岡越前の場合だと、「張付け獄門 3倍」、「遠島 3倍」、「火あぶり 5倍」、「江戸所払い 7倍」、「お咎めなし 10倍」、「その他 15倍」といった感じである。VTRのところでは他局の番組でありながらも予告編が流され、登場人物の相関図が示されたりする。

 一度ディーラーが大負けして破産したことがある。プレーヤーも含め、出演者の中から何人かが立候補し、視聴者からの投票で新しいディーラー役を決めたりもした。結果は前武の再任だったが。なかなか面白い番組だったが、ある日突然番組が打ちきりになった。金のやり取りはないものの賭事をテレビでやることに警察当局からの横槍が入ったためだと思われる。非常に残念である。

(秀)


from.あい
from.Kobaさん

第57話 〜1999/7/1〜

■スイカ

 就職で上京してすぐのことなので、もう10年も前のことである。当時は二子新地にあった会社の独身寮に住んでいた。そんなある土曜日、部屋のドアを同期の友人がノックした。「これから彼女の家に行くけど、お前も一緒に来い」という誘いである。上京して間もないため、休日といっても行く宛もなく、ブラブラと過ごしていた。特に断る理由もないため、彼について行くことにした。行き先は三鷹。但しそれがどこなのか、どのくらい掛かるのかが分かるはずもない。

 彼女の家というのはアパートで、一人暮らしだった。部屋には友人の彼女とその友達(女性)がいた。狭い部屋にしばらくの間4人でいたが、その後、夕食の買い物に友人と彼女が出かけ、彼女の友人と二人で留守番をすることになった。留守番で残った彼女は大学から東京に住んでいた。共通の話題もなく、話が弾むはずがない。年は同じで農学部卒だった。その当時、バイオテクノロジーが流行り、農学部というイメージとはうらはらに女子学生も理工系の学部よりは多かったらしい。農学部ということなので、私はスイカの話をしてみた。「スイカに縞があるでしょう。それをずーっと中心にたどっていくとそこにタネがあるんだよ。知ってた。スイカを横に切って見るとよく分かるよ」と言った。相手はもちろんそんなことは知らない。ちょっと引いたかもしれない。

 夕食は部屋でホットプレートによる焼き肉だった。しばらく経って、彼女の友人が「私、もうそろそろ帰る」と言った。送って行ってればお互いの人生が変わっていたかもしれない。けど、帰り道で迷子になってはいけないので、「バイバイ」と言って、私はテレビを見続けた。それからしばらくして、友人が「お前もそろそろ帰らないと電車なくなるぞ」と言ってきた。ショック。一緒に帰れるもんだと思っていた。「迷子になったら...」。二人を残して自分も部屋を出た。

 なんとか寮にたどり着いて、相部屋の同僚にその日のことを話してようやく友人の目的が分かった。彼氏募集中である彼女の友人に私を紹介しようとしたのではないか、というのである。なんと鈍いこと。互いの連絡先の教え合うでもなく、友人を通じて連絡があるでもなく、それっきりだった。

(秀)

from.なぎさん

第58話 〜1999/7/2〜

■選択肢

 これは高校の同窓会に出た時に思ったことであるが、人生において就職先と結婚相手の選択の影響は結構大きいなあと実感した。成績が優秀で良い大学を出たにしても家庭の事情で地元の小さな会社で働いていたりする。その一方で、「お前が教師?」と言いたくなるようなこともある。いくら女性の地位が向上したとしても、女性の人生が結婚相手で大きな影響を受けている事実は否定しがたい。

 大学時代にガソリンスタンドでバイトをしていた。そのため就職の時期になるとそこの社長が「口を利いてあげるから」と熱心に石油の元売り会社への就職を勧めてくれた。今のような就職難の頃ならばきっと飛び付いていただろうが、折りからのバブル景気で就職に苦労することなく今の会社に入った。社長には「あと何年石油が出続けるか分からないので、ちょっと...」と恩知らずな返事をした。また、社長には娘が一人いた。年は私より2、3才下だったと思う。社長の奥さんがことあるごとに「うちの娘を誘ってどこかに連れってくれ」やら、「うちの娘と付き合ってくれ」と私に持ち掛けて来る。もし社長のつてで就職していたら、彼女と付き合っていたかもしれないし、...。

 と言うわけで、今私がこういう状態であるのは全てバブル経済のせいだと言える。選択次第では皆さんにお目にかかることもなかったことになる。ひょっとした、ガソリンスタンドの副社長になっていたかもしれない。けど、退屈な田舎暮らしで、毎日油を売って生活していただろう。(なんか今回は落語のオチみたいだなあ)

(秀)


第59話 〜1999/7/5〜

■切ない

 早いものでは3クール目に入ったものがある。テレビドラマの話である。「新・俺たちの旅 Ver1999」も始まった。オリジナルの「俺たちの旅」は以前にもコラムで書いたが、1975年の作品である。「新」の方はV6のカミセン3人が演じている。彼らには何の思い入れもないが、オリジナルの信奉者としては毎回つきあわなければならない気がする。

 オープニングのタイトルバックには驚いた。中村雅俊の「俺たちの旅」が主題歌で、オリジナル版と同時にそっくりに作られた、新のタイトルバックが流れたからである。噴水にドカドカと入っていくシーンや三人肩車も再現されている。しかし、中身はオリジナルには遠く及ばない気がしてしまい、非常に残念である。それは何故か?まず1つはキャスティングであろう。やはりカミセンではオリジナルに比べて違和感がある。リアリティがないのだ。2点目は設定がオリジナルの原作とかなり違ってしまっている点。原作ではカースケとオメダは大学のクラスメイトであるし、カースケとグズロクは同郷での先輩と後輩の間であった。かたや寮を追い出され、かたや家出をした、カースケとオメダが赤提灯でグズロクと出会う。カースケとグズロクが再会し、3人のストーリーが始まる。しかし、今回は何の因果もない3人が偶然出会うところから始まった。

 それと、3点目のストーリーとして最も違うところは「切なさ」の有無である。原作および前作では毎回必ずしもハッピーエンドとはならない。しかしそれ以外の選択ができないわけで、その切なさ、むなしさが毎回残るのである。グズロクがカースケに「お前と出会って俺の人生はめちゃくちゃだ」と怒るシーンが度々ある。それでいても相手を裏切ることができない。オメダもカースケの男気に惚れ、せっかくの就職もふいにしてしまう。最近はこんな「切ない」ドラマがとんと無くなってしまった。スカッと溜飲を下げるようなものも良いが、たまには切なさを感じるような作品も見てみたい。金を出してでもこんな感じを味わいたくなるときがある。

(秀)


第60話 〜1999/7/6〜

■ハナゲメールへの反論

 もう半年近く前の話になるが、チェーンメールで「新しい痛みの単位は『ハナゲ』」というものが巷を騒がした。自分のメールの整理をしていたら、それとそれに対する私の反論のメールが見つかったのでここで披露したい。
 原文の主な内容は
「国際標準化機構(ISO)によれば、1ハナゲの定義は「長さ1センチの鼻毛を鉛直方向に1ニュートンの力で引っ張り、抜いたときに感じる痛み」。大気汚染と鼻毛の成長速度の相関性について研究していた永井花外・室蘭市立医科大学助教授が、二年前、鼻毛を鉛直方向に抜いたときの痛みに性別差や個人差が全くないことを偶然発見したため、この基準が採用された」というものである。

 早速問題点を指摘しよう。
1.新単位は慣例として発見者やその研究の主たる人の名前を取る。よってこの例では「ナガイ」となるのが普通。
2.室蘭市立医科大学は存在しない。
3.1ニュートン(=9.8kg重)の力では鼻毛は抜けないと思う(抜けないほうが痛いかも)。

 続いて最初のメールの続報ということで出回った、会議議事録について。以下原文より、
「以下の国際標準化機構(ISO)の発表に伴い、昨日、東京・国際フォーラムにおいて行われた日本非政府団体連盟主催の標準化単位認定評議会が行れましたので、議事録を送付致します。宜しく御査収下さい。
標準化単位認定評議会議事録
開催日時:11月19日(木)19:30〜21:30
場所:東京・国際フォーラム大ホール」


 また、その反論。
1.国際フォーラムに大ホールはない。もっとも大きくコンサートを開くようなホールの名称は「ホールA」。
2.('98年)11月19日のホールAは某大学の記念式典の前日のため、その準備に使用されていた確率が高い。

 全体的に「国際標準化機構(ISO)」という実在の組織を語る割には、裏取りが不十分な箇所が目立つ。もっともタイトルからふざけているし、永井花外というところで信じる人はいないだろうが、それ以外の矛盾点を探し出すのが謎解きをしているようで、おもしろかったりする。私の推理では最初のメールと議事録のメールの作者は別人の様な気がする。後者は便乗犯だろう。

(秀)


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