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第691話 〜2002/2/6〜

■修学旅行「山猫」事件

 インターネットなどでのIDやパスワードといったセキュリティを考えた場合、要はこれらは一種の合言葉である。お互いであらかじめ取り決めていた言葉で認証するか否かを決めるところなんか、忠臣蔵でのあの合言葉を思い出す。

 「山」に対して「川」。おい、おい、あまりにもイージーだろう。映画などで見る限り、彼らがこれほどイージーな合言葉を真顔で取り決めている。「山」という言葉で「川」という言葉は簡単に連想できてしまう。これは忠臣蔵の予備知識で既に我々の意識の中に刷り込まれてしまっているからそう思っているだけだろうか?。

 さてさて、中学校の修学旅行の時の話。8人ぐらいずつの部屋割りだったと思うが、いざ部屋に入った後、しばらくしていろいろと別の班の奴らがやってきて、騒いで散らかして、そして食い物を持ち去る。おまけにこんなことをするのは、だいたいうるさい奴と決まっていて煩わしい。そこで我々の班は部屋の平穏を保つために、部屋に鍵を掛け、合言葉によって他の班の連中を自分たちの部屋からシャットアウトすることに決めた。

 そのときの合言葉が「山」に対して「猫」。この巧みな引っ掛けは有効で、「山」、「川」と言う奴らをことごとく排除した。しかし、部屋を訪ねて来る奴は後を絶たない。そしてまた部屋のドアをノックする者あり。「山」、「川」。何度も何度も面白いくらいに引っ掛かってくるのがおかしくて、その度ごとに彼らに対する我々の罵声の声もでかくなっていった。「バッカヤロー。誰だよ」。引っ掛かったバカ面を見てやろうと部屋のドアを開けたところには引率の体育教師が立っていた。その後の顛末は皆さんの想像に任せる。

(秀)


第692話 〜2002/2/7〜

■通貨偽造の罪

 世の中、偽物で溢れている。牛もブランド品も、ついでにコラムニストも。つい先日も一万円の偽札騒ぎが起きたが、私はそれ以上に自販機を騙した千円札の偽造事件の方に注目したい。最近でも新聞報道によると、「東京都文京区で(2月)1日までに偽千円札18枚が見つかり、警視庁本富士署が通貨偽造、同行使の疑いで捜査している」、「湯島3丁目のビル敷地内の5台のたばこ自動販売機から見つかった」、「見つかった偽札は、やや黒っぽく透かしがない。印刷が不鮮明で文字が二重に見えるものもあり、同署はカラーコピーしたものとみている」とある。

 インターネットで検索してみると、去年の夏から同種の偽札事件が関西近辺などで起きていて、全国で自動販売機の中から発見された千円札は千枚を超えている。これらの事件の背景はマニア系の雑誌にその作り方が紹介されていたことのようだ。自販機に内蔵された紙幣判別機は、「磁気」を真偽の判断材料の一つにしており、磁気を帯びたインクを使って印刷されたり、コピーの際に付着するトナー(黒い粉)が磁気を帯びていることを悪用したもののようだ。自動販売機のメーカー社内でさえ、通貨判別ロジック(チェック箇所、方法)に関して知る者は少ないはずなのに。恐るべき、マニア雑誌。

 一般に偽造通貨というものは見た目をそっくりにして、相手を騙し、金品を不正に取得することを目的としている(ことだろう)。しかし、法律学的には、「交換媒介としての取引手段である通貨に対する公衆の信用を侵害する犯罪」として位置付けられている。そのことで当事者が不正に利益を得ることではなく、政府の信用を失墜させることを重要視しているところに注目する必要がある。刑法第148条も「通貨偽造及び行使等」として、このことに対し、「無期または3年以上の懲役」を課すことにしている。

 「通貨偽造及び行使等」の罪はあくまでも人間を対象に作られたものである。偽造に関して、この場合の争点はその偽造通貨がどれほど精巧にできていたかにあり、もちろんうまくできているほど悪質と判断され、量刑も重くなる。今回の例は印刷が不鮮明で、誰が見ても偽造紙幣と判断できるほど稚拙であるので、通貨偽造としてはレベルが低い。これまでの例でいけば、偽造の精巧さは人が見て誤認する度合いが基準となって測られていた。ところが今後もし、白紙の紙で誰も通貨と誤認しないような紙切れがお札として自動販売機で使えたとなると、ことは複雑であろう。行使しないと偽札かどうかも分からない偽札をどう裁くのか?。偽札騒ぎのニュースに接し、こんなことの方に関心が向いてしまっている。

(秀)


第693話 〜2002/2/8〜

■らいおんハートの置き薬

 「夜空ノムコウ」は後半部分が「の向こう」ではなく、カタカナ表記であるところが良い。「夜空の向こう」ではあまりにも垢抜けしない。わざわざカタカナ表記にした理由は「無機質で非日常的な感じを出すため」と、解説されていたのをテレビで見た。歌っているときはカタカナだろうが、漢字ひらがな混じりであろうと変わりないが、タイトルとして目にしたときの印象は大きく異なる。ちなみに作詞はスガシカオ。

 一方、「らいおんハート」も「ライオンハート」ではいけない。もちろん「らいおんはーと」でもいけない。「ライオン」ではあまりにもリアルに動物のライオンを思い浮かべてしまうし、「はーと」とここまでひらがなにしてしまうと、いくら癒しがテーマの歌でも脱力し過ぎる。

 ところで、「らいおんハート」の歌詞にも独特の世界がある。「君はいつも僕の薬箱さ」。こんな口説き文句がこれまでにあっただろうか?。この歌以前にこんなフレーズを使用している人がいたとしたら、あなたの作詞能力は野島伸司と双璧だ(この曲の作詞は野島伸司 )。そもそも薬箱と言われて女性は嬉しいのだろうか?。こんな言葉で浮かれてしまいそうなあなたは自分の家の薬箱の中を覗いて欲しい。

 薬箱と言われれば、置き薬だ。置き薬は薬箱ごと置いていく。箱の中にはテレビCMでは到底目にすることのできない、時代遅れなパッケージの薬が並んでいる。そこで、「らいおんハート」にあやかって、箱を開けると「らいおんハート」の曲がオルゴール(電子音でも可)で鳴る、という薬箱はどうだろうか?。うちの家人などはそれだけで飛びつくかも知れない。ケガして血を流していたり、頭や腹が痛いときにその音があなたを癒してくれるかどうかは知らないけれどね。

(秀)

from.莉香さん

第694話 〜2002/2/12〜

■「建国記念の日」だ!

 2月11日は「建国記念日」ではない。「建国記念の日」だ。「の」の字にこだわってみたい。一字の違いだが、意味の違いは結構大きいかも。テレビなどで「建国記念日の今日、各地では....」、なんて原稿を読み上げるアナウンサーなど見つけると嬉しくなってしまう。アナウンサーが間違ったのか、原稿を書き起こした編集者が悪いのかは分からないが、認知度がこの程度なのだという証拠だったりする。

 中学生のとき、社会科の授業で「『建国記念の日』の起源は何か?」と先生に問われた。指名を受けた私はこのとき、古事記に出てくる「国生み」の話を挙げ、「日本が誕生した日と言われている日だから」と答えた。しかしその先生は私のこの答えを笑った。いつも大人びた現実的なことを言う私がそんな神話をその起源として回答したからであろう。もちろん、そんな神話なんか信じているはずはなかったが、私が持ち合わせていた範囲での回答をしたつもりだった。そして先生が紹介した回答というのは、「2月11日は1889年に大日本帝国憲法(明治憲法)が発布された日で、近代日本が誕生した日として、それが建国記念の日の起源である」というものだった。

 戦前この日は「紀元節」と呼ばれていた。調べてみたら先ほどの私の神話の話は勘違いで、「紀元節」の起源は、神武天皇が即位した日とされていた。建国記念の日が明治憲法発布の日をその起源としたにしても、その日をわざわざ2月11日にしたのは、やはり紀元節によるものと思われる。不思議なことに2月11日が建国記念の日であることは法律で決められているわけでない。日付は政令で決めるという玉虫色の祝日として誕生した。明確に建国を決める日がないから間に「の」の字を置いてみたりする。毎年この祝日をめぐって賛否がもめるのもここに原因がありそうだ。

 とりあえず三連休(だった)。「(今日、)何で休みなんだっけ?」という人も多かったかも。またそれ以上に「建国記念日」だと思っている人が多いに違いない。そうだ、この国には建国記念日がないんだよ。「だから何?」。建国記念日なんか無くても愛国心や日本人としてのアイデンティティーを阻害していることなどない。逆に「建国をしのび、国を愛する心を養う」というこの祝日の意義も満たされてはいない。紀元節の復活やその反対など私はあまり興味がないが、いずれにしろ、法律で決まっている祝日の名前ぐらいは正しく呼びあらわしたいと思っている。いっそ、こんな日こそ根拠が希薄であるため、ハッピーマンデーにしてしまえば良さそうな気がするが、それこそ賛否をめぐって、大きな騒ぎが巻き起こることだろう。

(秀)


第695話 〜2002/2/13〜

■ソルトレークへの思い

 いつの間にか始まった感じで、事前の盛り上がりには欠けた感は否めないものの、実際に蓋を開けてみると里谷多英選手の銅メダルで注目度は急上昇した。そして、今朝(日本時間13日)には男子スピードスケート500メートルの2日目、清水選手の連続金メダルも見られるかもしれないとあって、オリンピック熱は最高潮に達したようだ。

 実を言うとソルトレークシティがどこにあるのか、最近まで知らなかった。NHKの週刊こどもニュースニュースで、それがユタ州で、そばにあるグレートソルトレークがとってもでかいことを知った。こういう視点の報道も新鮮で面白い。冬のオリンピックとなると、地味になりがちだが、それでも子供の頃にはいろいろと遊びのネタにしたりした。

 まず、セーター(の場合が多かった)の首のところから、首を引っ込め、ちょうど怪獣「ジャミラ」のような格好で、スタートのポーズを取る。続いてキメ台詞。「クロイワ!」。がに股でスタート。その後、足を交互に動かしている感じで、実際にはその場で片方の足を軸にもう片方の足で円弧を描く動作を交互に繰り返す。

 そしてもう一つの遊びは、ジャンプ。まずコースに飛び出し、うさぎ跳びのようにしゃがんで手は後ろ。その後、立ち上がり、前傾姿勢。前に倒れそうになりながら耐える。そしてこのときズボンの横の部分を風がなびいているように、バタバタと手で動かすことを忘れてはならない。最後は両手を大きく広げ、片方の足を前に踏み出し、着地のポーズ。両手でバランスを取るような振りもする。

 今もこんな遊びをやる子供たちはいるのだろうか?。「クロイワ!」は「シミズ!」に変わり、ジャンプの際の足の格好もV字に変わったのだろうか(かつては足を揃えてた)?。掃除の時間に箒を握って、カーリングごっこをやってたりするのだろうか?。そんなことを思いながら、オリンピックの夜は更けていく。「がんばれ!」。

(秀)


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