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第696話 〜2002/2/14〜

■義理チョコ大作戦

 世の女性諸君、今年もこの日がやってきた。そして同志男性諸君、やはり今年もこの日はやってきた。毎回新しい年のカレンダーを手にした直後にまず自分の誕生日が何曜日かを確認し、その次にバレンタインデーが何曜日かを確認したりしなかっただろうか?。私はした。

 お菓子メーカー等の策略によるものと分かっていながらも、たかだか数百円(本命はそれ以上だろうけど)のチョコでありながらも、一喜一憂が隠れている。そしてこの市場というか、このイベントは本命チョコではなく義理チョコによって支えられているような気がする。バレンタインデーが日曜日や土曜日となるとチョコの売れ行きが大きく減少してしまうのがその証拠だ。

 義理チョコをめぐる悲喜こもごもに注目してみよう。義理チョコは日常の生活サイクルに沿って準備される(と思う)。その日に会うかどうか分からない人の分まで用意されることはまずない。あまりお金を掛けるのももったいないのでできるだけその数を減らしたいと思っている。そこで相手を選抜する。日頃の付き合いがあるので、とりあえず同じ部署の男性ぐらいには、と収まる。「義理(チョコ)で〜す」、「皆からで〜す」と、そのさりげなさがポイントであろう。

 一方男性は義理であろうと、少しでもチョコに近づこうと、会社内を他の部署まで遠征してみたりする。いくら日頃から面倒をみていようとも、それが日常のサイクルに沿ったものでなければ義理であろうと自分の分のチョコまで用意されている可能性は低い。中には自分のところでチョコの箱を広げ、「ご自由にお食べください(義理チョコ)」と貼り紙をする女性もいたり。

 同じ部署の男性達にせっせと義理チョコを配る女性あれば、「私、義理チョコなんか関係ありませんから」と、いう女性もいる。それは本人の意思であるため尊重して当然であるが、ただ、知り合って最初のバレンタインデーとなるとその辺の事情がわからないので、期待数にカウントしている男性もいるかもしれない。

 こんなバッドコミュニケーションが気まずく、悩ましい一日である。

(秀)


第697話 〜2002/2/15〜

■引っ越し便乗商法

 新しいマンションができて、多くの入居者が引越しをしてくるような週末となると、玄関付近でマンション販売会社の人々が出迎えをする姿がよく見受けられる。そしてその横には怪しげな風貌の男たちが会議机を並べていたりする。彼らは近所の新聞販売店の店員である。机の上には洗剤やごみ袋などが載っている。そして側には新聞配達マシン「カブ」号が横着けされている。もちろん、販売会社には何らかの手土産をもって承諾を取り付けての出店なのだろう。

 新居の購入と引越しの諸々で出費が多いときではありながらも、さすがに新居への入居日とあって財布の紐は緩い。洗剤やごみ袋も引っ越し直後に必要となるアイテムとしてまさに良いタイミング。ましてやどうせ新聞はとろうとしている人が多いはずで、中には「○○新聞でなきゃダメ!」と言う人もいるかもしれないが、豊富な品揃えのその販売店は結構な確率で契約が獲得できているようだ。もちろん、私の場合は断ったけど。

 同様のセールスはその後も後を絶たずにやってくる。引越し荷物がようやく運び込まれて、開梱しようか、というときにインターフォンが鳴った。初のオートロック対応とあってちょっとうれしいし、そのせいか、警戒心もなくドアを開けた。現れたセールスは換気扇のフィルター屋だった。巧みで怪しい口上で迫ってくる。消火器のインチキ販売が「消防署の方から来ました」と、確かに方角はそうかもしれないが、「それは違うだろう」、といった類である。最初は換気扇メーカーの人がフィルターを付けに来たのだと思った。

 早速、その男は換気扇のカバーを取り外し、持ってきたフィルターを付けようとする。ところが換気扇のカバーのネジが手では外れない(硬くしまっていなければ手で回せるようだが)。「ドライバーをお借りできますか?」なんて言いやがる。とりあえず、ドライバーを貸して作業を見守るがドライバーを回す手が何ともぎこちない。持って来たフィルターは枠に磁石が付いていて、それで貼り付けるだけの非常に簡単なものだった。「これなら奥様でも簡単に取り替えることができます」というのが、これまたセールストークのようだ。

 ところが外した換気扇のカバーは行き場がなく、「それは使用しませんので、片付けておいてください」と言いやがる。それに、ファイルターの代金は2年分一括で8,000円などと言いやがる。自社のフィルターを付けるのに、カバーを外してしまい、そのカバーを使用しない換気扇を設計するメーカーが果たしてあるだろうか?。作業服を着ていながら、ドライバーも持ち歩かないのもおかしい。よくよく話を聞くと、「換気扇のメーカーではなく、換気扇に合うフィルターを作っているメーカーだ」と言う。あまりの馬鹿馬鹿しさに「それならいらないから、元に戻して帰ってくれ!」と叱責してやった。彼を玄関まで追い立て、外に出ると、同様にフィルター売りが何人もいて、財布の紐が緩んだ入居者から巧みに金を巻き上げている姿を見た。

(秀)


第698話 〜2002/2/18〜

■ギンザの恋の最終回

 日本テレビ系で放送されているドラマ「ギンザの恋」が本来10回の放送を予定していたにもかかわらず、視聴率低迷を理由に7回で最終回を迎えることになった。要は打ち切りである。先週での放送でも何の脈絡もなく、主人公が入院するなど、無理な話の展開で次回が最終回であることがドラマの中で告げられた。今日、18日がその最終回の放送日にあたるため、書き上げていたコラムを差し止め、予定を変更して今日はこの話について書こうと思う。こんなことめったにないだろうから。コラムは記録でもある。

 「ギンザの恋」とはその名の通り、銀座を舞台にドラマ初主演のトータス松本演じる食品会社社員を中心に須藤理彩、戸田菜穂、中澤裕子との恋の駆け引きを描いた恋愛ドラマである。シリアスな感じは一切ない、コメディである。当初、出演者では話題を呼んだドラマであったが、実際の中身はどこかつかみ所なく、ストーリー展開の面での深みもないため、視聴率で苦戦するのも当然かもしれない。「銀座」を「ギンザ」と書き改めようとも、銀座ブランドは通用しなかったわけだ。

 さて、肝心の低視聴率ぶりであるが、ビデオリサーチ調べによると4%台(関東地方)が続いていたらしい。裏番組が良くない。月曜10時とあって、「SMAP×SMAP」での稲垣吾郎復活(特にその回)は相当にこたえたことだろう。ニュースステーションの影響もあるだろう。これまでも視聴率の良くない番組は数多くあって、特にバラエティ番組は最初の数回の放送で打ち切りになるものもあった。しかし、ドラマはあらかじめ放送回数が決まった上で脚本が書かれるわけで、それを事故などの理由(例:「ロケット・ボーイ」織田裕二主演)以外で打ち切った形で放送回数を減らした例は他に思い浮かばなかった(探せば多分あるだろうけど)。どうしてもその3回が待てないのだろうか?。

 不思議なことにこのドラマでのユースケ・サンタマリアの存在感が薄い。確かに出番が少ないせいでもあろうが、いつものキャラクターとは違い、真面目でモテモテ君(死語か?)である。いつもの感じではトータスを食ってしまうから抑えているのだろうけど、これでは別の役者を使った方が良かったような気がしてならない。ましてや、ユースケ・サンタマリアとドラマに出ると不幸な結末が訪れるのかもしれない。「花村大介」では共演のいしだ壱成がその後に覚醒剤容疑で逮捕。「ロケット・ボーイ」では織田裕二の入院により、放送回数削減。そして今回の「ギンザの恋」は途中打ち切り。確かに、「踊る 大捜査線」ほか、例外も多数あるけれどね。

(秀)


第699話 〜2002/2/19〜

■憧れのサイクリング車

 僕らが小学校高学年頃から中学時代、「自転車」を趣味にするのが流行った。今のようなマウンテンバイクではなく、サイクリング車と呼ばれるカテゴリーの自転車である。赤やブルーといった派手なボディカラーとドロップハンドル、多段変速切替、それにできるだけ軽装備で、後ろのキャリア(荷台)がないなどを特徴とした自転車だ。

 一口にサイクリング車と言っても、さらに細かく用途によって分けられている。まず、タイヤが細く(タイヤとチューブが一体になっていた)、前後の泥除けもない、早く走るために必要以外のものは全て省いた(中にはスタンドも)「ロードレーサー」。通称「ロード」と呼ばれていた。ただし、この車種は悪路に弱いし、荷物が積めない。それに対し、前方にバッグを積んで、タイヤも多少太く、ちょっとした遠乗り程度の車種として「ランドナー」があり、これに荷物を積むためにフレームに強度を持たせ、後方やタイヤの脇にキャリアを付けたのが「キャンピング」。また、「ロード」と「ランドナー」の中間に、「スポルティーフ」というのもあった。実用性の面では「スポルティーフ」と「ランドナー」が高い支持を受けていた。

 当時我々の多くが憧れていたメーカーはブリヂストンで、そこで販売している商品ブランドに「ユーラシア」シリーズというのがあり、さらに上級ブランドとして「ダイヤモンド」シリーズというのがあった。前者は6万円台、後者は10万円クラスの価格だったと思う。商品名は「ユーラシアロード」、「ダイヤモンドランドナー」という形になる。しかし、やはり高価であるため、このクラスの自転車を持つ者は極めて少なく、周りは誰も持っていなかった。それに対し、ブリヂストンは「ロードマン」という普及車種も販売していた。4万円台の商品だったと思う。

 心の中ではダイヤモンドランドナーが欲しいと思いながらも、こんな高価な自転車が買ってもらえるはずはなく、また自分の貯金もない。結局、家の隣の隣が自転車屋であり、しかもそこの取り扱いがミヤタと丸石だったため、ミヤタの「カリフォルニアロード」という自転車を買ってもらって乗っていた。メタリックブルーのランドナータイプ(ロードとは名ばかりで、ランドナーかスポルティーフしかなかった)だった。これは価格的にロードマンと競合関係にあった車種である。多くのフレームサイズのバリエーションとともに、ボディカラーの組み合わせで1つのブランドシリーズながら多くの商品を擁しているのが特徴だった。せめてミヤタなら、さらに上のグレードの「ルマン」という車種が欲しかったのだが。蛇足ながら、丸石のブランドは「エンペラー」で、「ユーラシア」と「ルマン」、「エンペラー」は同一価格帯の競合車種であったが、人気は圧倒的に「ユーラシア」だった。

 当時の僕らにとって、こんなサイクリング車は大切な、しかも唯一の移動手段であり、大人が自動車を趣味にするように、僕らは自転車を趣味として楽しんだ。自転車で走るのも楽しいし、メカいじりも楽しかった。月刊誌の「サイクルスポーツ」をバイブルに、漫画「サイクル野郎」を読んで、僕らはみんな自転車での日本一周を夢見ていた。けど、今はママチャリ。ちょっと贅沢して、電動アシスト付きなのはこだわりか。

(秀)


第700話 〜2002/2/20〜

■ロドルフ殿下

 当コラムも本日を以って700話に達した。この700話の達成を祝い、ロドルフ殿下よりお祝いのメッセージが届いており、...と言うのは嘘で、これまで100話単位の切りの良い回には、コラムに対する所信表明めいたものを書いてきたが、つらつら日々書き連ねていればそんな回が一定ごとにやってくることはごく自然なことで、切りが良い回自体に特別な意味があるわけでなく、また所信表明もほぼ述べ終えたので、今回はレギュラーメニューということで、いつものような与太話を書く。

 もう20年くらい前になると思うが、コーヒーのテレビCMにたいそう品の良い方が出演されていた。そのお方の名前はロドルフ殿下。あまり詳しいことは覚えていないが、殿下と呼ばれるからには相当偉い方に違いない。お城にお住まいで、執事がそのコーヒーを持ってきて、殿下はそれをたいそう美味しそうにお飲みになる。カップはきっとマイセンか何かの高価なものなのだろう。そして最後に商品が紹介される、そんなCMだった。

 さてここで、肝心のコーヒーに注目してみよう。スポンサーはネッスル。種類も多く、インスタントコーヒーの国内シェアとしてはダントツだったに違いない。そして、そのCMの中でロドルフ殿下が飲んでいるのは、その名も「NESCAFE PRESIDENT」。殿下どころか大統領閣下である。何とも高尚なブランド名だ。名前だけでない。瓶や金文字で「PRESIDENT」と表記されたラベルにもその雰囲気は込められていた。けどちょっと待て。殿下だよ、殿下。小野寺昭(「太陽にほえろ」より)ならまだしも、お城にお住まいの殿下様(二重の敬称でおかしな表現であることは分かっている)がインスタントコーヒーを旨そうに飲んじゃダメだろう。しかも、執事がいながらインスタントかい!。そのCMを見て、「PRESIDENT」を買ってみたが、不思議と自分も高尚な気分になれた。特にミルクたっぷりのアイスカフェオレにすると旨かった。

 ビートたけしも当時そんなネタを使っていた。ネスカフェのCM手法は直接的に「旨い」などと言わせるのではなく、くつろぎながら飲むそのときのその雰囲気を味わうことを前面に出したものだった。それは現在にも受け継がれている。そのせいか、そもそも、ネスカフェのCMには怪しい部分が多かった。長い間シリーズでテレビCMが流れていた、「違いが分かる男」。高々インスタントコーヒーのCMには大袈裟なコピーだ。「赤ラベル」と「ゴールドブレンド」の違いが分かるとでも言うのか?。そんなことまでいろいろと思い出しながら書いていたら、頭の中であの「ダバダー、ダ、ダ、ダバダー、ダバダー。ダバダー、ダバダー、アー」(本当はロングバージョンなのだが、表記が大変なのでこれくらい)、というCMソングがこだまし始めてしまった。カフェインよりも眠れないかも。

(秀)


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