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第951話 〜2003/2/26〜

■バリバリマシン

 大学4年のときの12月。小学校、中学校と同じ学校に通っていた友達にコンビニでふと出会った。たまたまいつも通っているコンビニとは別のコンビニで出会った。家はそれほど離れていないながら、高校が別になってからは生活のテリトリーが違うため、会ったのは随分久しぶりだった。彼は「ちょうど良い所で会った。今度、写真撮りに来てくれ!(原文は方言)」と私に頼む。よくよく話を聞くと、バイクで走っているところの写真を撮ってくれとの依頼である。中学生のとき、私は学校一の写真少年だった。

 その足で彼の家に行ったのか、日を改めて彼の家を訪ねたかははっきり覚えていない(多分前者だったと思う)が、彼の家で更に詳しい話を聞くことになった。久しぶりに入る彼の部屋の壁にはライダースーツ(バイクの皮ツナギ)が吊るされていた。中学を卒業してからほとんど会っていなかったので、彼がオートバイ好きになっていたとは知らなかった。そして雑誌を取り出し、「この雑誌に写真を投稿したいから写真を撮ってくれ!」という依頼だった。

 その雑誌の名は「バリバリマシン」、略称「バリマ」。オートバイの走り屋の雑誌だ。この場合の走り屋というのは暴走族ではない。峠のコーナーなどを攻め、そのテクニックを楽しむ類である。ツーリングなんてのもやらない。このためバイクも中型で2ストロークエンジンがほとんどだ。雑誌にはそんな走り屋の読者からの投稿写真が掲載され、読者間ではこれがバイブルであり、この雑誌に写真が載ることがステータスになっていた。中にはマシンを大きく傾け、地面との摩擦で膝から火花を散らしているものもある。ライダースーツの膝の部分にはパッドが付いていて、彼のそれも擦れている。但し、火花を散らすためには、そこにジュースの空き缶をガムテープで貼り付け、それを地面に擦りつけるのだと彼は言った。

 早速次の日曜日、彼のバイクの後を車で追いかけ、その峠に向かった。当日集まったそのグループのライダーは10人を超えていた。カメラマンを連れてくるという情報が回っていたせいか、いつもより多いらしい。中には私のバイト先のガソリンスタンドのお客さんもいた。別に怖い人の集まりではないが、自分にこのような趣味がないため、そんな人たちの中にポツンといる環境は初めてのことだった。ふと垣間見た異次元のようだ。

 車体を内側に傾けるコーナーの内側で待って、流し撮りで何枚もシャッターを押した。バイクの後ろに乗せてもらって、追尾しながらの撮影に挑戦してみたが、手が自由にならないのでダメ。それならと、車の助手席から追尾しながら撮影は構えることはできるが、望遠レンズのため、揺れ幅が大きく、ピントを合わせている間に酔ってしまって、これまたダメだった。それなりに写真は気に入ってもらったが、実際にバリマに投稿したという話はとうとう聞かなかった。もはや彼ももう峠を攻めるような走りはやっていないだろう。

(秀)


第952話 〜2003/2/27〜

■老人マーケット

 これから先、日本の人口は減少へと転じる。いくら人の寿命が延びようとも、少子化の影響の方が大きいわけだ。これは日本の歴史上、初めてのことである。確かに資源や環境の点から考えれば、人口は減少した方が良いのかもしれないが、若い人が減り、老人が増えるといったこの変化は私が今さら言うまでもなく、いずれ深刻な社会問題として避けて通れなくなる。当座の対策は子供の数を増やすしかない。しかし、景気の回復や社会的な環境の変化で多少出生率が改善され様とも、その到達時間が変わるだけで、到達点はほぼ変わらないであろう。

 人口が減るということは経済の成長が止まるということだ。生産活動も消費活動も減少する。そして、産業構造も消費者層の変化に応じて変化していかなくてはならない。一部は巨大な市場を狙って中国を目指していくことだろう。しかしそんな企業や商店ばかりではない。そこで、介護やシルバー市場といったものに限らず、元気な老人向けの市場というものが形成されることになる。とりあえずまずその第一波は団塊の世代が老人に足をかけるこの10年間ぐらいだろう。

 この場合の市場というのは単に商品市場のことばかりを言っているわけではない。形ある財貨(商品)だけでなく、形のないサービスなどの分野にも及ぶ。趣味や文化などにも。電子媒体の普及でますます苦戦が予想される出版業界は老人をターゲットにしないと生き残れないだろう。旅行業界も同様。外食産業も値下げ競争に汲々とするばかりでなく、老人層をどう取り込むか、メニューやサービスの検討を行うときがきっと来る。何しろ、30年後には人口の約20%が老人という時期である。私もその一人だが。

 そして次第に若者文化は衰退していく。老人層を支えるために年金や税金の負担が増し、購買力を失っている。しかも、購買層としてもマスの魅力を失った若年層はマスコミや産業界から見て、もはや魅力的ではない。よっていずれ、原宿が本当に「おばあちゃんの原宿」になるかもしれないし、センター街に老人があふれ、渋谷が老人の街になるやも知れない。

 パチンコ屋は老人だらけ。風俗もそう(相手もババアかな?)。喫茶店も老人だらけ。街中老人だらけ。若年労働者は人手不足で働いているため、昼間からパチンコをしているような若者は富裕層かも。老人専用の出会い系サイト。老人専用のねるとんパーティ。ただ、今のものを焼き直しただけではつまんない。「ビジネスチャンスあり」、と見た。

(秀)


第953話 〜2003/2/28〜

■ボブ・サップ

 最近彼の姿を目にしない日はない。もちろんブラウン管を通してだが。だいたい、彼は食ってるか、暴れている。そして、目をむき出しにして見得を切っている。これだけで数多くのCMに出ていられるのはうらやましい。ところで彼は随分長く日本にいるなあ?。ずっといる気なのだろうか?。余計なお世話だろうが、ちょっと気になる。

 そもそもCMやバラエティ番組に出るために日本に来たのではなかろう(全くの私の想像だが)。本来は格闘家、K−1戦士である。しかしこのK−1も脱税による興業会社社長の逮捕で興業どころの騒ぎではない。そんな中、彼はCMとバラエティ番組に活路を見出した。結果としてはそれが非常に受けているようだ。

 かつてこれら強面のキャラクターは被害を受ける出演者とのペアの構図で存在した。暴れる側とやられる側。デストロイヤーに4の字固めをされる、せんだみつおのように。バラエティ番組でもアンディ・フグは踵落しを実際に見せることで受けていた。しかし、ボブの場合は違う。誰かに危害を加えるでなく、しかし、怖さを醸し出しながら、おどけて見せる。それはそもそもボブが持ち合わせ、自然と見せているのか?、それともスタッフの演出なのか?。それはわからないが。非常に巧みだ。

 こうなったからには、今さらリングで闘う姿を見せない方が良いだろう。タレント活動が忙しく、練習する暇もないのでは?。逆に格闘家としての地位を目指すならばこのあたりでCMやバラエティから身を引くべきだ。闘う姿は格好良いだろうが、そこにあのひょうきんな姿がないとすれば格闘技ファンは別として一般人は毎日テレビで見ている姿と比べて違和感を感じるだろう。そうなるとスポンサーも身を引く。血を流したり、ダウンする姿を世間に晒すことは、現在のタレント活動においては死活問題となる。まあ、私が言うまでもなく、本人や彼の周りの人間は気が付いていることだろうが。

(秀)


第954話 〜2003/3/3〜

■りそな銀行ってなんだ?

 金融界の再編は大きなところが済み、銀行においてはかつての合併した両行の名前をくっつけた行名ではなく、全く違った名前を付けるのが最近は多い。かつてのスタイルを守っているのは東京三菱銀行と三井住友銀行ぐらいか。それでも後者は一時期、さくら銀行という時期があったので、太陽神戸三井住友にならずに済んだ。太陽銀行も神戸銀行ももはやその名を残していない。

 みずほ銀行は富士銀行と第一勧業銀行だったはず。UFJは三和銀行と東海銀行。ところでこのUFJってなんだろう?。さっきUFJ銀行のサイトで調べてみようとしたがそれらしい説明はなかった。どうしてわざわざアルファベット、しかも単語ではない行名なんかにしたんだろうか。年配者での認知度は著しく低いと思われる。よくもそうやすやすと会社名が変えられるなあ?、と不思議でしょうがない。一時期、CIが流行ったが、それに費やす費用やエネルギーはバカにならないはず。

 そして最も新しい銀行として、りそな銀行というのが誕生した。今回は大和銀行とあさひ銀行の合併である。これで都市銀行の中で、ここ数年に合併をしていない銀行はなくなった(と思う)。あさひ銀行は協和埼玉銀行だった。りそなとは「共鳴する」という意味のラテン語らしい。こう分かりにくく、認知されないような名前を付けてしまう心理が分からない。同じような商品を扱うからには認知度こそが差別化の大きな要素となりうるはずだが。

 あの、ジブリのイラストが出て来るCMだけ印象に残って肝心の新行名を覚えていない(覚えようとしない)人々の方が多いのではなかろうか?。これでは新しいお客様を獲得することはできない。いっそあのイラストの効果を利用して、「ジブリ銀行」っていうが良いと思う。「ジブリ」って何?、というそもそもの新たな疑問が生じるかもしれないが、それでも認知度は格段に上がるはず。「トトロ銀行」でも良いよ。

(秀)


第955話 〜2003/3/4〜

■警報装置

 先週の土曜日に待望の車が納品された。週末は自分でも走らせたが、ここ数日は目下妻の買い物車となっている。3列シートで車検証上は8人乗りということになっている。あまりに嬉しいのでこの車で寝泊りしたいくらいだったが、まだ寒いのでやめた。マンションの駐車場には他にも多少高価な車が止まってはいるが、とりあえず私の車が最も新しく、一番ピカピカ光っている。

 気になるのは車へのいたずらだ。マンションの駐車場で年に1件程度の割合で、いたずらが起きている。車そのものが消えた例はないが、窓ガラスが割られて車内から物が盗まれたり、前の方のナンバープレートが盗まれたりしている。高い車が狙われるとか、新しい車が狙われるとかの共通点がない。奥に入り込んでの死角となるところは狙われやすい気もするが。

 幸運にも私の駐車場は入り口すぐ側。道路に面し、街灯の真下ときている。深夜の人通りはほとんどないが、悪事を働くには避けておきたいような場所かもしれない。しかし、今まで通りのように、単に幸運に任せているわけにも行かない。さんざん値引きをさせられて弱っていたはずの自動車ディーラーの営業マンが「防犯装置付けときましょうか?。サービスしますから」とタダでくれた。タダより高いものはなかろうと、折角の好意を無駄にするわけにもいかず、車上荒らしの件も気になっていたのでまさに渡りに船だった。

 タバコの箱をちょっと平べったくしたような感じの大きさの箱がサンバイザーに付いている。それほど本格的な防犯警報装置ではないが、センサーをセットした後、振動を与えれば警告音を発する。解除するには車のエンジンをかけるか、アクセサリーの状態で、警報機に電源が供給される状態になれば止まる。このため、乗り込む際には必ず軽い警告音が鳴ってしまう。もたついてしまうと、さらに警告音は大きく鳴る仕掛けだ。

 実際に車上荒らしが現れて、警報が鳴ってしまったところで、あいにく私は夢の中かもしれない。朝起きて、ようやく愛車がピーピー鳴いているのに気づくかもしれない。中にはクラクションに連動して、警報がクラクションで鳴る装置もあるようだが、そこまでの代物ではない。それでも警報機はセットすると、ピカピカと小さいながらも赤いライトを点滅する。実際に音が鳴ることよりもこのライトが「見張ってるぞー!」と威嚇し、「警報セット中」であることを明示している抑止力の方に私は注目している。警報機つきの車と分かれば避けるだろうと。

 家に帰り着くと、まず駐車場に目をやる。目を凝らして、赤い「見張ってるぞー!」ライトを探す。夕方にもう一度ぐらいは乗るだろうと、警報をセットしていないときなどは私がチェックし、それをセットしてから部屋へ入ることにしている。ついでに車両保険にも入った。

(秀)


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