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第151話 〜1999/11/25 〜

■Addicted To You

 タイトルからして、宇多田ヒカルらしい。これが日本語に訳されていたら、「あなたに夢中」で、これではキャンディーズの曲になってしまう(そんな曲があったんだよ)。ところで、私が嫌いなあの歌番組「速報!歌の大辞テン」(詳しくは第3話「宇多田ヒカル」を参照のこと)では、あの徳光がさも得意そうに、「『Addicted To You』というのは、日本語に直すと、『あなたに夢中』や『あなたに中毒』といった意味になります」とか、きっと言ってそうで腹が立つ。さらに、プロモーションビデオを流す前には「前回までとはガラリと変わった彼女の姿をご覧下さい」などとも言ってそうだ。確認したい気もするが、見ると腹が立つのでそれはやめておこう。

 「Addicted To You」のCDは初回出荷分だけで130万枚になったらしい。あの乾電池とMDのCMの影響も大きいと思う。1枚千円として、13億円。歌唱印税は1%らしいので、それが1,300万円。彼女の曲は自作なので、その分も合わせると、5,000万円近くの金(推測)が彼女の懐に転がり込むことになる。もちろん、その後もCDは売れ続けているし、カラオケの印税も入るため、この1曲で1億円は稼ぎ出すことだろう。下世話だが、本の執筆印税は10%ぐらいらしい。千円の本が10万部売れたところで1,000万円にしかならない。しかもそうそう10万部なんて売れるものではない。労力を考えると音楽に比較して割に合わない。それに比べ、最近のプロ野球選手の年俸は高すぎるなあ。

 さて、曲の話に戻るが、詩の内容は恋のせつなさと大人になりたいがなれない、じれったさを歌っている。例によって同年代の人たちにリアル感とシンパシーを追求した形だ。しかし、1つだけ許せないところがある。「電話代かさんで迷惑してるんだ」。これまでのシングルとアルバムを合わせて数億単位の印税を手にしておきながら(以前はまだもらっていないと言っていたが、どうだろうか)、そんな携帯の電話代ぐらいでケチケチしないで欲しい。リアル感が薄れていくから。

(秀)


第152話 〜1999/11/26 〜

■愛せない二人

 読者からのメールの中にはコラムのテーマに関するリクエストがあったりする。それは9月の終り頃だった。そのメールには、「『愛する二人別れる二人』を見てますか。今会社で話題になっています。今度この番組についてコラムを書いて下さい」と記されていた。女性からのおねだりであるが、金が掛かるわけではないので、即刻OKの返事を返した。

 さて、どうしよう。実はこの番組を見たことないのだ。何度かリモコンでチャンネルを切替えている途中に目に止まったことはあったが、そこでリモコンを止めることはなかった。家人に聞いて初めて放送日と放送時間が分かった次第である。普段なら帰宅する時間でもなく、ビデオに録ってまで見るものでないため見たことがなかった。ましてや、よその夫婦喧嘩を眺めながら夕飯を食べる神経は持ち合わせていない。それに自然とモザイクに目を細めてしまった顔を家人に見られてしまうのはどうも都合が悪い。それでもせっかくのリクエストであるため、テレビ雑誌で調べたがあいにく秋の改編期でその週の放送はなかった。しばらくすると今度はバレーボールで、いざとなるとなかなか姿を現わしてくれない。11月に2度ほど放送されたようだが、それも見逃してしまった。そしてとうとう今回の騒ぎである。

 以前放送に出演した奥さんが自殺をしたというのがことの起こりである。局のスタッフが確認に行ったら、旦那がテレビに出ていた人とは別人で、制作会社が無名男優を替え玉として使っていたのが明らかになった。神奈川県警のように隠さなかったのは潔いが、この「やらせ」が槍玉にあがり、とうとう番組は打ち切られてしまった。やらせが問題のような報道であるが、それよりも番組が険悪な夫婦仲を一層加速し、出演者が自殺してしまうような結果をもたらしたことの方が問題だと思う。

 さて、どうしよう。というわけで、せっかくのリクエストに対するコラムはこんな感じになってしまって、リクエストしてくれた女性には申し訳ない。しかし、肝心の本を読まなくても感想文の原稿用紙のマスは埋められるような才能を発見できて自分的にはOK。

(秀)


第153話 〜1999/11/29 〜

■借金

 仮に4,000万円のマンションがあったとしよう。チラシにはその金額と共に、「月々○万円のお支払い」と、さも家賃と比較して欲しそうな金額が踊っている。しかし、即金で買う人以外は4,000万円でなんて買えやしない。多少頭金を用意しても借金が完済される頃には軽く6,000万円は支払っているだろう。月々家賃並みの支払いでも、ボーナスを含めた年間支払額を見れば、もっと条件の良い賃貸物件に住めると思う。「頭金0円でもOK」というのは、マンション本体の支払いが0円というだけで、登記や融資の手続きに必要な金や管理組合の修繕積立前払分はちゃっかり請求され、これに引っ越しが加われば、やはり100万円近くの金は必要なのである。それでも、「家賃を払いながら頭金を貯めるぐらいなら、利息を払った方がまし」という信条の下、私も幾ばくかの借金を背負い、肩こりに加え、首も回らなくなって来ている。

 しかし国家レベルでの借金を思えば、かなり気が楽である。これだけ赤字国債を発行してテコ入れをしているが、経済復興の兆しは見えないし、その恩恵を受けている人の話など聞いたことがない。国債と地方債を合わせた累積残高は600兆円にも上り、国民一人当たり478万円に当たる。各家庭に家族の数だけ高級車が買える額の借金である。具体的な数字を見るにあたって、「SPA!」の記事が面白かったのでそれを拝借(引用)させていただこう。「ニッポンのフトコロ事情をサラリーマンの家計に置き換えてみると、年収が500万円なのに、支出が810万円(うち借金の利払いに110万円、借金の返済は80万円。借金の返済よりも利払いの方が多い)。足りない310万円は新たな借金。たまった借金は3270万円。(地方債も入れると6,000万円)」となっている。これだけの金額を無担保で融資してくれるところは、このご時世、商工ローンぐらいだろう。怖くて借りたくないけれど。

 こうなれば、期待できる策はデノミに他ならない(と、自らの期待を込めて思う)。「2000年だから2000円札」といった、つまらない理由でデノミ論は消えたかにみえたが、ボキャ貧総理の本心はかなりデノミに熱心らしい。「他の国際的な通貨に比べて、『円』の(みかけ上の)価値を是正する」という建前であるが、本音は景気浮揚とその結果生じるインフレ期待にあると思う。詳しくは次回に続く。

(秀)


第154話 〜1999/11/30 〜

■カジノバー

 借金とデノミの話の続きが何故「カジノバー」というタイトルか疑問をお持ちの方も多いと思うが、まずは読んでくれ。もう7年ぐらいになると思うが、六本木のとあるカジノバーに仕事帰り、仲間数人と出かけた。そのバーのカジノはお遊びで換金や景品との交換などもやっていない健全な店である。入口ではドリンクを注文すると共に、コインを借りるシステムになっている。まあ、所詮お遊びということで最低単位の2,000円分のコインを借りたと思う。中にはブラックジャック、バカラ、ルーレットの台が数台づつ置いてあった。雑誌に紹介されているわりには、人の入りはまばらであった。六本木には他にも面白い店がいっぱいあるわけだから、わざわざ分かりにくい場所にあるカジノバーというのは流行らないのか。中途半端な怪しさよりも、この土地は思いっきり怪しい方が良いのかもしれない。

 にわかにできたお気軽な店で、ディーラーも素人で交代毎にカウンターのスタッフと入れ代わっていた。まあ、それなりにその夜は楽しめたが、その店に2度と足を運ぶことはなかった。それでも、いくつか学ぶことがあった。ゲームにはコインをベット(賭ける)するわけだが、やっている最中はゲームに熱中し、そのコインが何円に相当しているかの判断など思いもしないのである。もちろん、勝ったところで換金できないからかもしれないが。特にルーレットとなると1度に何ヶ所も賭けたりするが、チープなプラスティックのそのコインは1個100円なのである。財布から100円玉を出して直接賭けるとなると、こんな遊びはバカバカしくてできないだろう。

 海外旅行となると「安い」という先入観から衝動買いに近い買い物をする人がいるだろう。気分的にもハイで、あまり細かな銭勘定も野暮に思えたりする。デノミとはこれと同じような効果を一時的にもたらすのである。おまけにこれまで1万円だったものが、新100円となって、何だか安くなった気がして来る。もちろん、給料も安くなったような気がするだろうが。これにより、購買意欲が喚起され、インフレを呼び、結果世の中の借金は目減りするというわけだ。貯金なんかしている場合ではない。

(秀)

※もちろん、インフレで損をする人の方が多いかもしれない。デノミに関しては賛否両論あることを付け加えておきます。


第155話 〜1999/12/1 〜

■ご挨拶文

 趣味で文章を書いているからには多少のビジネス文書も書くのを厭わない。法務文書でもマニュアルの類でも日本語であれば、やぶさかでない。ただ、どうしてもあまり気が進まない文書がある。議事録というやつだ。書くことよりも会議中、各人の発言をもらさずに書き留めなければならないのが苦痛なのかもしれない。いっそ、他人(できれば複数)が書いたメモをかき集めて議事録を創作した方が楽かもしれない。それに、しばしば目にする他人が書いた議事録や添付の配布資料を読んで、会議の中身が分かることは困難である。例え文豪が書いた議事録というものが仮に存在するとしても、文章としての価値は果たしてどんなものだろうか。

 ましてや、末席で針のムシロ状態の会議の議事録など、あの悪夢が蘇って来そうで心理的に重い。それでもとりあえず、テンプレートでそれらしいファイルを探し、メモを手掛かりに紙幅を埋める作業に着手した。しかし、すぐに気持ちは別の方に行ってしまった。目的のテンプレートファイルを探そうとしたフォルダには実に様々な文例が250余あり、そのタイトルが面白いのである。確かにまじめな一般的なビジネス文例があるし、「始末書」という心強い(?)文例もある。そんな中に混じって、作った方は真面目かもしれないがブラックなものや「こんなもん、出さない方が良いだろう」という文例がある。幾つか拾ってみよう。「借金の保証人の依頼」、「借金の保証人を断る」、「保証人を断られて」、「婚約解消のお詫びと報告」、「おつきあいのお願い」、「おつきあいを断る」、etc...。全体的に「承諾」の内容の文例がないのは創作者の意図だろうか。「お断り」というネガティブなものは文章の中身を見るまでもなく、タイトルだけで面白い。「離婚した女性への激励」というのは、ネガティブなのかポジティブなのか分からない。

 そうそう、せっかくだから新しい読者へメルマガの冒頭でご挨拶でもと思って、文例を探してみたが、近いものでも「新規開店のご挨拶」では、やはり無理があり、やめることにした。メルマガ1回目だから、執筆者としての「ご挨拶」だと思って読み始めた、あなた。「秀コラム」はそれほどストレートではない。この面白味が分かっていただけたら、これからもおつきあい願いたい。けど、断りのメールは受け付けていない。

(秀)


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