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第1771話 〜2010/7/14〜

■裁断された本

 音楽CDをCDとして実際に音を出す機会は極めて少ない。今ではデータファイルという形で抜き出して、iPodやウォークマンに転送してから聴くことの方が多いはずだ。レンタルショップで音楽CDを借りる、あるいは貸す、このような場合に借りた側がそのCDを録音することはお互いに承知の上である。一時期、コピーコントロール信号により、パソコンへの録音を制限する動きもあったが、あまりにも不便であったため、すぐに消えてしまった。ネットを中心に不正コピーが跋扈している現状でありながら、今更時間をアナログの時代に巻き戻すことなどできない。

 一方、アナログからデジタルへの転換途中の本についての話。この間、私のコラムの中でも自己所有の本を分解し、スキャナーで読み込んで電子ファイル化する動きについて書いてきたが、世間では思った以上にモラルが低下している現実を目の当たりにした。大手のネットオークションで裁断された本や雑誌が出品され売買されているのだ。もちろん、この裁断とはバラバラに切り刻んだわけでなく、本や雑誌の背表紙部分をカットし、取り除いた状態を言っている。

 これからその本を入手して裁断し、スキャンしようとする人には手間が省けて良いのかもしれないが、出品者は自分でスキャンしたデータを保有しておきながら、要らなくなった本を売ろうというのであろう。中古で販売されている音楽CDであれば、前の所有者が録音物を保持しているであろうことは予想できるが、パッケージやディスクに使用感があろうと、音楽CDのスタイルは変わらない。一方、本は背表紙を失い、バラバラになっている。

 自分が所有する本を切ろうが破こうが、それは所有者の勝手で、その状態で売るのも勝手かもしれない。しかし、それをスキャンして売り払うというのは著作権的にダメだろう(音楽CD等の場合はあらかじめ複製を前提に著作権保護のための費用が記録媒体等に盛り込まれている)。本気で「読むライセンス」という考え方が必要なのかもしれない。もちろん、本の中古市場自体も著作権保護の観点からは好ましくないものだろう。

(秀)


第1772話 〜2010/7/23〜

■Windows7タブレットPC

 先日、米国マイクロソフトがWindows7を搭載した、タッチパネル型タブレットPCが年内に21社のメーカーから発売される、と発表した。この数は、国内外の大手のパソコンメーカーのほとんどが手掛けることになる。好調なiPadへの対抗であることは間違いないが、市場はどんな反応を示すのだろうか?。ただ、年内一杯待つこともなく、既にそのような製品は発売されているが、iPadの人気に押されてか、認知度は極めて低い。

≪Windowsタブレットの優位点≫
・多機種により機器選択の幅が広がる
・豊富で使い慣れたソフトウェアが使用できる

≪Windowsタブレットの懸念点≫
・iPad並みの価格になるか?
・iPad並みのバッテリー寿命(約10時間)ができるか?
・電子書籍のコンテンツがiPad等と共通化できるか?

≪iPadの良いところ≫
・起動が早い
・バッテリー寿命が長い
・操作が簡単

≪iPadへの不満点・要望≫
・マルチタスク、マルチウィンドウではない
・Office系のソフトの互換性に難あり
・もうちょっと軽いのが望ましい
   もうちょっと小さくても良い
・拡張性が乏しい
・ファイル管理の構造がわからない
・画面を外部に出力できないケースが多い

 WindowsのタブレットPCが市場に受け入れられるかどうかの要素の大きな1つは、やはり価格だろう。ネットブック並み、iPad相当というのが1つの目安と思われる。中には超軽量のマシンも登場するかもしれないが、きっとそれが付加価値となって高額に違いない。

 もう一度、iPadが何故このように世間に支持され、受けているのかを考え直す必要がある。iPadはパソコンであるが、ある意味、パソコンではない。新たなカテゴリーの情報端末を作り上げた。そこには新たな文化が発生する。一方、WindowsのタブレットはiPadが作り出した新たなカテゴリー入れることはできても、それ以前にそれはパソコンの色が強すぎると思う。それと何より、「App Store」というアプリを配信する仕組みをアップルがうまくコントロールしている点も見逃せない。自由奔放を旨とするWindows陣営はスマートフォンの分野において、先行しておきながら、呆気無くiPhoneの後塵を拝するに至ってしまった。

 まあ、私の読みとしてはキーボードがなく、不便で中途半端なパソコンがいろいろと出てくるだけのような気がしてならない。いろいろな見せ方ができよう。スタンドに置いて、ワイヤレスキーボードと組み合わせてのライト・デスクトップ。キーボードレスのモバイル端末。リビングで情報端末。しかし、いずれもiPadの模倣でしかない。しかも、OSがWindows7では起動に1分とか掛かってしまい、iPadとは雲泥の差だ。iPadと対抗するなら、OSとしてはWindowsMobileを機能拡張すべきではなかろうか?。ここにハードウェアとOSが単一メーカーから出てくるのか、分離しているかの差を感じてしまう。iPadの対抗馬の本命はむしろその後に登場するであろう、Android端末ではないかと私は思っている。

(秀)


第1773話 〜2010/8/4〜

■所在不明老人騒ぎ

 夏の怪談話としてはリアルすぎる話題。100歳以上の所在不明者の存在が次々に明らかになってきている。報道によりその数はまちまちだが、あるニュースでは今日明らかになった分も含めて全国で24人(夜のニュース時点では52人)と伝えていた。実際に調査を行った自治体の数はまだほんの僅か。私はこんな数で終わるはずはなく、軽く3桁に達し、100歳以上という制約を付けなれれば、その数は1,000人以上の規模になるのではないかと思っている。早急に全自治体で確認調査を行うべきだ。

 足立区で白骨死体で男性が見つかった例は非常に悪質だった。死後32年もの間、よく死体と一緒に一つ屋根の下で生活できたものだ。「本人が会いたくないと言っている」ということで、家族が本人の区職員との面会を拒んでいた。嘘っパチである。しかも数年前に年金受給額を増額できるように申請し直し、振り込まれた金額のうち約800万円が何者かによって引き出されていた。これは明らかな詐欺行為だ。容疑者は逮捕し、情状酌量の余地もなく、執行猶予などという甘いことは言わずに、即懲役に処すべきだ。もちろん、だまし取った金は返してもらう。家財産を売り払ってでも。

 杉並区の例では長女が出てきて、「母は弟と一緒に暮らしている」と言っていたが、ここ2、30年音信が途絶えているらしい。「気にはなっているんですが」とも言っていたが、気になる人がこれほど長い間事態を放置したままというのも嘘くさい。ついでにその弟も行方知れず。住民登録されているところは道路の建設現場になっていた。この長女、うすうすは本当のことを知っていてとぼけているのではないかという気がしてならない。

 100歳以上の老人が単独で所在不明になって生きていけるとは、到底思えない。中には、「数年前に出て行った」と語る家族もいた。認知症なのかどうか分からないが、自分の親などの身内が家をふらりと出て行って帰ってこない事態を放置できている現実を理解するのは難しい。

 失踪者は失踪者として法律の規定に基づいて、7年以上経ったものは粛々と死亡を認定し、状況を正しく一掃すべきだ。その上で年金等の不正受給が見つかった場合は即刻容疑者を逮捕、起訴すべき。100歳以上と限定せず、年金受給者は一斉調査を行うべきだ。強制権がない代わりに、受給停止の権利で対抗してはどうか。それにしても、年金って管理がいい加減だなあ、と改めて思った。

(秀)


第1774話 〜2010/8/9〜

■自炊生活レポート

 「自炊って知ってますか?」と周りの数人に聞いてみたところ、「自分でご飯を炊くこと」と皆が答えた。我がコラムの読者であれば、既に理解いただいているかと思うが、ここで言う「自炊」とは、本や雑誌をスキャナーで読み込み、電子ファイル化することである。せっかく買ったiPadを活用しようと、断裁機とスキャナーを買い込んで、自炊環境を整えてから約2週間。冷静に考えてみれば、今回の自炊キットの購入額はiPad本体よりもかなり高かった。ちまちまと自炊した本の冊数は105冊に達した。これは私が1年間に読む本の冊数を大幅に上回っている。

 まずは自炊の対象となる本を決める。最初は成り行きで少量の単位で断裁してスキャニングしていたが、これでは効率が良くない。実際に本を手にとって、この本を自炊すべきかどうかを都度考えるのは面倒である。別に処理にお金が掛かるわけではないので、予めルールを決めて処理する本を決めてしまった方が良い。まず、中古で買った本を第一優先にし、買ったけど読む目処が立っていない本が続く。中古本である程度の価値があるものやコレクションの類のものは外す。どうせ中古本屋に持って行っても10円程度にしかならない本は、特にためらうことなく断裁できる。

 断裁機は思ったとおり、スパッと切れる。まず、巻きカバーをはずし、表紙、見返しまでを手で破り取る。見栄えから言えば、巻きカバーをファイルの先頭ページにした方が、アプリで書棚に並べたファイルを眺めるのには良いのだろうが、巻きカバーと背表紙部分を断裁した本身では横幅が合わない。それと巻きカバーを裁断するのは結構手間であるため、本の中扉の部分をファイルの先頭ページとすることにして、巻きカバーは捨てることにした。本身を断裁機にセットし、一刀両断、レバーを押し下げる。慣れてくれば、1時間もあれば、100冊分断裁がイケそうな気がする。

 問題はスキャニングである。私が購入したスキャナーは毎分25枚の用紙を読み込むが、同時に用紙の両面をスキャニングするため、毎分50ページの取り込みが可能な機械だ。一度にスキャナーにセットできる用紙の枚数は紙の厚さにもよるが、30枚から50枚くらいの感じまで対応できる。無理に枚数を増やすと、紙が吸い込まれていかない。気になっていた重送は思ったよりも極めて少なく、その原因はうまく裁断できていないものばかりだった。中扉と本身の用紙の糊付け部分の糊が残っていた。200ページの本を読み込むのに約4分。そのデータをOCR処理し、透明テキスト付きのPDFファイルとして書き出すのに2〜3分、といった感じだ。結構地味な作業だが、テレビや録画した番組を見ながら作業できるので、週末に集中して作業するのが良いかもしれない。

 実際のスキャニングのトラブルとして多かったのは、栞を挟み込んだままで断裁し、気づかずにスキャニングしたために、最初からスキャニングをやり直した事が何度かあった。それに斜行と用紙サイズの自動判断ミスが用紙のページ数の比率で言えば1%以下であるが、それが見つかればその本は最初からスキャニングのやり直しとなる。また、それを作業中に気が付けば良いが、作業が終わって断裁した本を捨てた後に気づいたのではもう諦めるしかない。今回100冊以上の本を結果として物理的には捨てたわけだが、本棚に空きができた感じはあまりしていない。

 iPadで自炊したファイルを開いたところ、思ったよりも文字が綺麗でなかった。かすれなどが出ている。スキャニングの解像度が不足したのかと思って文字の表示を拡大したところ、文字はなめらかな形でかすれもなく表示された。iPad側の画面解像度(画素数)がPDFファイルの解像度を表現するには不足しているものと思われる。PDFファイルとなると、これまではパソコンの画面で読むよりも印刷して読むことが多かったが、ようやくここにきて電子ファイルとして閲覧することに抵抗がなくなった感じがする。やはり、縦長でページが表示されるのが、ページ内でのスクロールを必要とせず心地良い。

 iPadというデバイスの登場により、注目度は上がっているものの、電子書籍の実態は圧倒的なコンテンツ不足である。貪欲にPDFファイルをかき集めてみたりもしたが、いっそのことなら、買ったもののまだ読んでいない本を電子ファイル化したいと考える。その結果の自炊である。実際にiPadに保存して、持ち歩いてみると、読み始めると本とあまり違いがないが、読み始めるまでの挙動は本の方がやはり早い。読むスピードについて、実際に計測してみたわけではないが、本と電子ではほとんど差がないような感じだ。それよりも、冊数が多いため、どれを読もうか迷ってしまったり、読みかけの状態の本が増えてしまうことになった。

 iPadは電子書籍以外にもいろいろな用途があるから面白いデバイスではあるが、本を読むだけならもっとコンパクトなデバイスの方が良さそうだ。というわけで、今月末に発売されるKindleの新型端末を予約注文した。

(秀)


第1775話 〜2010/8/23〜

■氷柱

 暑い日が続いていて、エアコンがフル活動である。私は先週夏休みでずっと家に居たために、文字通り、フル活動であった。室内に居ても熱中症になる人がいるくらいなのだから、これもやむを得ない。私の部屋は天窓があって、この時期の日中は非常に暑い。日中はリビングに避難して過ごしていた。数字の上で言えば、昔よりも今の方が暑くなっている。地球温暖化とヒートアイランド現象によるものだろう。

 昔はエアコンなんてなく、家庭用は冷房だけのクーラーだったが、それでも私が小さかった頃は自宅にクーラーなんてなかった。うちだけでなく、周りのほとんどがそうだった。唯一幼稚園の頃からクーラーがあったのは、達ちゃんの家だけで、別に彼の家が金持ちだったわけではなく、むしろ家はボロで狭かった。なのに当時からクーラーが家にあるのは子供の目から見ても、うらやましかった。

 わが家にようやくクーラーが付いたのは、私が小学3年生のとき(35年前)だった。父親が仕事の関係上、いくつもの電気屋さんとつきあいがあったからで、貧しいわりには、周りと比べるとやや早かった感じだ。貧しいくせして見栄っぱりな父親は「クーラーを付けた」ことをことあるごとに、セールスも兼ねて自慢しては、電気屋さんを紹介していた。

 だからそれ以前のわが家では扇風機がフル活躍していた。特に夜は寝苦しく、家族5人がマクラを並べ、2台の扇風機が一晩中首を振っていた。そしてどうしても気温が下がらない夜には氷屋さんで氷を買ってきて、それを扇風機の前に置いていた。氷屋さんと言っても、近所の燃料店が兼業でやっている程度である。そこに母親が氷を買いに行くので、何度かついていったことがある。ちょっとした氷の柱である。それを当時200円とか300円とかで買っていた。毎晩というわけではないが、ひと夏にすれば、それなりの金額になる。

 父親のセールストークの一つ。「1日300円使っても、クーラーの涼しさにはかなわない」。暑い夜にこんなことを思い出した。

(秀)


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