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第261話 〜2000/5/15〜

■キックボード

 近所でキックボードが流行っている。「今さら?!」と思う人もいるかもしれない。ひょっとすれば、もうちょっと前からも流行っていたかもしれないが、私がそれに気付いたのは最近のことである。対象は小学生の子供達である。昼間彼らがキックボードで近所を駆け回る姿を平日に目にすることはなく、ゴールデンウィークにようやくその姿を見るに至った次第である。ブームが伝えられた今年の初め頃は物不足のため、走っている姿を見ることなどほとんどなかったが、ものが潤沢になりだし値崩れするとともに子供達が(親の金かもしれないが)買い求めたようだ。

 キックボードの元祖は「Razor」というブランドで、最近は商標の問題から「JDRazor」と改めている。2ヶ月ほど前、インターネットのショッピングモールで検索した時、売価のほとんどは約15,000円を付けていた。別のブランドのキックボードもあり、それは10,000円程度であった。当時はそれぞれ品不足で、納期未定や1ヶ月待ちと表示されていた。それが今では「Razor」でさえ、物流は潤沢となり、8,000円程度でスーパーのチラシにも出ている。

 前述の通り、私の周りのキックボード人気は小学生が主役である。私も家から駅までの片道約1.5キロの往復のために買おうかと思ったことがあるが、やめた。小学校では危険な遊びとして道路でのインラインスケートを禁じている。キックボードもいずれそうなるかもしれない。そんな折りに学区内をキックボードで駅に向かうPTA会長(今年は副会長から会長にアップグレードした)は宜しくないだろうと自粛した。そして折り畳んでも約2kgの荷物を担いでの電車通勤が苦痛なのも、もう1つの理由となった。

 子供の友達にキックボードを親にねだっている少年がいる。そして、「誕生日に買ってもらえる」と、了解を取りつけたらしい。「で、君の誕生日はいつなの?」。「12月」。彼が颯爽と近所をキックボードで走り抜ける日はやって来るのだろうか?。

(秀)


第262話 〜2000/5/16〜

■ミドリシマ・タネオ

 今日は朝から子供のドッジボール大会を見に来ている。小学校の授業などでやった、ドッジボールと基本的には同じであるが、競技としては厳格なルールが存在する。まず人数であるが、内野9人、外野3人の合計12人で1チームとなる。内野のコートの広さは10m×20mで、真ん中にセンターラインがある。外野はそこから外周2mが守備範囲で、ボールを後逸してしまうと相手ボールになってしまう。1セット7分の2セットで競技は進められる。

 驚いたことに、審判が6人もいる。主審、副審、それに線審がコートの四隅に立っている。他のスポーツでこれほどの審判を要する競技など、ちょっと思いつかない。スタッフはこれだけでない、計時係と記録係も欠かせない。記録係は試合の開始時や中断の前後に、内外野にいるそれぞれの選手の背番号を記録しなくてはならない。作戦タイムのように選手がコートを出入りとなると、その度にこの手続きが行われる。かなり面倒だ。しかし、これだけ審判がいてもミスジャッジや判定に対する不満はあとを絶たないらしい。

 すいか割りにも厳格なルールが存在する。棒の素材と長さ、スイカまでの距離、スタート前の回転の向きや回数も決まっている。きっと目隠しの布に関しても細かな定めがあることだろう。そのルールを制定し、普及促進を目的とした団体がある。正式なその団体の名称は忘れてしまったが、代表者の名前は「ミドリシマ・タネオ」(だったと思う)。「ミドリシマ・タネオ」。苗字を漢字にすると、「緑縞」となる。この団体が発行するルールブックには代表者、緑縞氏の顔写真として、ハロウィンのカボチャの如く、目鼻口がくり抜かれたスイカの写真が載っているらしい。彼らがどこまで本気なのかは分からない。

(秀)


第263話 〜2000/5/17〜

■ショウは終わった?

 ひいきにしている劇団がようやく1年間の活動休止期間を終え、6月公演で復活することになった。劇団の名は「ラッパ屋」。ここ2、3年でにわかに注目を集め、最近はチケットを取るのも大変になって来た。最近は主宰の鈴木聡氏が東芝日曜劇場「海まで5分」やNHKの朝ドラ「あすか」の脚本を手掛け、役者も端役ながらもテレビで姿を見掛けるようになった。活動休止期間と言いながらもメンバーの活躍はむしろメジャー化したようだ。復活公演は「ヒゲとボイン」というタイトルで、新宿シアタートップスで6月7日に初日を迎える。今から楽しみである。

 さて、先日国会で祝日改正法が参院を通過した。現在、4月29日の「みどりの日」を「昭和の日」と改め、新たに5月4日を「みどりの日」にするというものだ。4月29日は周知の通り、昭和天皇の誕生日であった。今改正推進派は新たな祝日の意義を「発展を成し遂げた昭和の時代を尊ぶ」としている。一方、反対派は「不幸な時代もあった昭和の時代を単純に尊ぶことはできない」としている。今は「文化の日」となっている11月3日は明治天皇の誕生日であった。しかし、さすがに「明治の日」とは言わない。それに対し、「昭和の日」というのはあまりにも露骨な気がする。

 ラッパ屋の過去の公演に「ショウは終わった」というタイトルのものがあった。私はあいにくその頃は、この劇団のことを知らなかったので、この公演は見ていない。平成元年に公演され、このタイトルには「ショウが終わった」という意味と「昭和、終わった」という語呂の、ダブルミーニングということだった。公演の記録によると、昭和の激動の時期(2・26事件、太平洋戦争、高度経済成長、全共闘)を「ショウ」になぞらえ、物心がついたときには、これら既に終わっていた、「遅れて来た世代」としてのストーリーであったようだ。しかし、現実には祝日として昭和が復活して来るようだ。「ショウは終わった?」

(秀)


第264話 〜2000/5/18〜

■味中華

 車を駐車して、1時間ほど人を待つことがあった。こんなときは本を読むかコラムを書くことにしている。するとトイレに行きたくなった。通りの向こうのスーパーマーケットにトイレがあるのは分かっている。それは店外から出入りするスタイルだ。それを利用するのが最も便利であるが、そこには1つ大きな障害が立ちはだかっている。駐車場係だ。決まって駐車場係はトイレの横あたりに立っている。通りを渡って一目散にトイレに駆け込むには、彼の視線が気になる。一度店に入って、それからトイレに行くという作戦もあるだろうが、小心者の私には手ぶらで店を出て、駐車場係の前を通り、トイレに行く勇気はない。

 いずれの作戦をとろうとも、そのトイレを利用すると決めて、車を降りた。通りを渡り、駐車場からトイレまでのアプローチの過程で、「いらっしゃいませ」と、彼が声を掛けて来た。私の足はわずかながら左に軌道修正して、とりあえず店内に逃げ込む。こうなったからには、ちょっとばかり買い物をして、堂々と彼の前を横切ることにした。ところで、何買おうか?」。ちょっとのはずが、1,500円も使ってしまった。ミニよもぎ餅10個パック(=その日のおやつ)、オロナミンC10本パック(=コンビニで都度買うより安かった)、牛肉コロッケ1コ(=お腹が空いたので、これから車の中で食べる)。そして、「味中華」という、中華調味料を買った。

 「ウェイ・ツォン・ファー」。「味中華」を中国語として読むと、そうなるらしい。パッケージにそう書かれている。缶に入ったペースト状のものであった。同様の中華調味料に「味の素 中華あじ」というものがあるが、こちらの方が中国語読みもふられて、中国4000年の食文化のエッセンスとしては似つかわしい。その日の夕飯はパッケージの写真に触発され、炒飯となった。

(秀)


第265話 〜2000/5/19〜

■QUIZ

 ついに出るべくして出たと言うべきドラマの登場である。TBSで金曜10時から放送されている「QUIZ」はまさにそんなドラマと言える。おそらく、個々の発想というか仕掛け自体はそれほど新しいものではないが、一度にこれらが束になってしまうと、新しいドラマの形に見えてくる。基本線は小学2年生の生君という子供の誘拐事件であるが、犯人は一切姿を現さず、電子メールで連絡をして来る。しかもその中身はドラマのタイトルの通り、「QUIZ」になっている(正確にはクイズというより、なぞなぞの感じであるが、「なぞなぞ」というタイトルでは喜劇になってしまうので許すとしよう)。そして、この事件の解決に挑むのが人の心が読めるという特殊能力を持った、財前直美演じる美人女性刑事(役名:桐子カヲル)という設定で話は展開される。

 もちろんのこと、現時点で犯人は分かっていない。これは推理小説のセオリーであろうが、あまりにも容疑者の対象範囲が広すぎる。生君の母親(森口瑶子)や担任教師(鈴木紗理奈)、それに刑事までも疑わしいところがある。疑いだしたらきりがないが生君と同級生の女の子までも、どこか怪しげな演技を見せる。おまけに身代金を横取りする便乗犯まで出てきた。被害者宅に潜入していた刑事(内藤剛志)が被害者の母親に刺されたり、小学校で爆発騒ぎが起きたりと次々に新たな事件が捜査をさらに混乱へと巻き込んでいく。そして便乗事件をめぐる殺人事件も起きてしまった。

 このドラマもホームページを持っているが、かなり趣向が変わっている。このサイトの中では登場人物の紹介が「容疑者リスト」というタイトルで視聴者による犯人予想投票という形で行われている。また、ストーリー紹介が「誘拐事件実況生中継」というタイトルで行われている。しかも、このWebサイトは被害者の家を向かいの家から見ている少女がドラマの中で更新しているサイトを視聴者も見ている形となっている。チャットのコーナーもある。それはどこか昨今話題の犯罪を犯した少年がインターネットの掲示板にはまっていたことを思い出してしまう。彼女も部屋に閉じこもったきり、パソコンとインターネットにはまっている。メールやクイズといったモチーフがドラマとしては面白い設定であるのは間違いない。また、今回のようなWebの趣向も画期的と言える。しかし、現実犯罪との相関を思えば複雑な気持ちにならざるを得ない。続きはいずれまた。

(秀)

参考URL:
http://www.tbs.co.jp/quiz2000/

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