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第366話 〜2000/10/17〜

■身代わりの代償

 松坂大輔の無免許、駐車禁止事件について。この話は表向き、彼が日テレの柴田アナとの密会を写真週刊誌にスクープされたことから始まる。私はこのFRIDAYを報道から数日後に床屋で目にした。そこには翌朝彼女のマンションを出て来た時には乗りつけたベンツがレッカー移動されていたというオチとその車が球団名義のものであることが記されていた。さすがに無免許運転(免許停止中)であることまでは分からなかったようで、そんなことは記されていない。

 仮に彼が免停中でなく、自らが駐車違反の出頭をしていれば、単に駐車違反の話として公になることもなく、終わっていたに違いない。しかし、球団の広報担当者は松坂が免停中であることを知っていて身代わりとなって警察に出頭した。記者会見によると松坂は身代わりを依頼していないし、広報課長も自主的に身代わりになったと言っているが、車がレッカー移動されたのに気付いて松坂は広報課長に電話をしたらしい。その時に「実は今免停中なんです」とでも言ったのではなかろうか?。いずれにせよ、出頭する時点で広報課長は彼の免停を知っていた。だから身代わりなんだろうけど。しかしやってはいけないその好意(?!)も松坂がFRIDAYに撮られたことで、全てがバレてしまった。

 不幸は小さな不運が次々へと積み重なって起きる。もしここで松坂がFRIDAYに追われていなければ、もしあの写真を撮られていなければ、身代わり出頭もバレなかったに違いない。もしも駐車違反が摘発されていなければ、無免許もバレなかったかもしれない。そして更なる不運は誕生日の件である。彼はこの日、20歳の誕生日を迎えた。もしこれが数日早ければ、今回の書類送検も未成年者の犯行として公にならなかったはずだろう。

 世間もさすがに今回は彼に冷たいようだ。これまで、彼はあまりにもチヤホヤされて甘やかされ過ぎていたように思う。2ヶ月の免停というところから、普段のお行儀もあまり良くないようだ。本人は現在謹慎中で自分の未成熟さを反省しているようだが、彼の両親は「オリンピック出発前日に呼び出すなんて... 」と、柴田アナに腹を立てているらしい。別に彼女が「車を運転して来て!」と呼び出したわけでもなかろう。タクシーでも行けただろうし、彼女は無免許&駐車違反には何の責任もない。この親にしてこの子あり。彼の未熟さの原因は世間や球団だけではなく、もっと彼の身近にあったわけだ。今回の損害は球団分も含めて10億円だと一部では報道されている(きっと大袈裟な数字だと思うが)。

(秀)


第367話 〜2000/10/18〜

■スタア食堂

 ブラウザのブックマークの整理をやった。マシンやディスクが変わろうとも大事に引っ越して使用していたため、かなりのボリュームになっている。もっとも古いものは95年の登録だった。うまくカテゴリー別にフォルダに分類できれば良いだろうが、複数のカテゴリーをまたがるようなものをどうするかを悩んでいる内に挫折してしまうこともしばしば。ある時期に登録した内容は一気に「未整理」というフォルダに放り込んでおしまい。カテゴリー作りはセンスが問われる作業だ。

 今もそのURLでアクセスできるかを自動判別するソフトを走らせてみると、96、7年頃に登録したものはことごとく全滅であった。確かにそのサイトにはここ2、3年アクセスしていない。それに、この間にオリジナルドメインに変更になっているものも多かった。マスコミ関係のサイトでさえ、かつてはプロバイダーのドメインを使用していたことに改めて気が付く。そして、既にリンクが切れているサイトの1つに「スタア食堂」があった。

 スタア食堂とは95、6年頃に店にビデオカメラを仕掛けて、店の状況をホームページでリアルタイムに中継することで一時期話題になったところである。カメラからの映像の枠の下には「店長は俺達を監視しようとしているのか?」などと、洒落た店員の台詞があった。かつて同様に世界一有名なコーヒーポットというのがあった。カメラで撮影したコーヒーポットの静止画像がインターネットで公開されているただそれだけ。某研究室のもので、コーヒーポットが空になったかどうかを見に行くのが面倒なのでカメラを仕掛けて、それをWebで見ていたわけだ。このサイトを見に来て、コーヒーが残り少ないとわざわざメールで知らせてくれる人も結構いたそうだ。もちろん、私も当時そのページを見に行った。

 さて、スタア食堂の件であるが、馴染みの利用者から「店が空いてるか分かるから良い」という声が上がっていた。「会社の帰りに寄ろうかな?」、と思って店の混み具合が分かるわけだ。同僚が見つかるかもしれないし、同僚に見つかることもあるだろう。このシステムは床屋にあると便利だなあと思った。行ってみて、混んでいたから出直す、なんてことも結構多い。ただ、待っている間も緊張を強いられわけで、テレビ電話同様、技術的要素よりも心理的な要素が普及を妨げているようだ。検索エンジンで「スタア食堂」を検索すると確かにヒットするが、カメラ中継はもうやっていないようだった。

(秀)


第368話 〜2000/10/19〜

■キンモクセイ

 キンモクセイの香りが街に溢れる季節となった (ひょっとして過ぎてしまったところも)。普段は気にも掛けていなかったところから、香りとともに黄色い小さな花が姿を現わし、そこにキンモクセイがあったことに気が付く(しばらくするとまた忘れてしまうけど)。私がキンモクセイという語彙に初めて触れたのは小学校6年生の時だった。今でこそ演歌歌手の堀内孝雄が「君の瞳は1万ボルト」という曲をソロで出し、化粧品メーカーとのタイアップもあり大いにヒットした。

 曲の歌い出しは「鳶色(とびいろ)の瞳に」で始まり、鳶色がどんな色か随分悩んだ(実は今も分かっていない)。その後歌詞に「金木犀の咲く道を」というのが出て来る。金木犀が植物であることはすぐに分かったが、果たしてどんなものなのか、この時は分からなかった。

 その後のキンモクセイとの出会いは、どれぐらい後かは忘れたが、トイレの中であった。確か「シャワデー」であったと思うが、トイレに置かれたその黄色い芳香材には「キンモクセイ」と書かれていた。キンモクセイとはこんな匂いなんだと思った。やがて、秋がやって来て、どこからともなく、あのトイレの芳香材の匂いがする。そばに近づいてそれが黄色い小さな花から発せられていることを確認した。

 人間の五感と記憶の結び付きは結構しつこい、特に嗅覚は視覚などに比べて情報量が少ないため、より強固な気がする。きっとこれは私だけでないだろう。友達も、「あっ、便所の匂い」と言っていた。その本来の香りの良さから、「トイレの匂い」、「便所の匂い」と記憶されているキンモクセイ。匂いがする度にこの花の不憫さを思う。

(秀)


第369話 〜2000/10/20〜

■おかしも

 うちの会社は週の途中に休みがあったりすると、その週の土曜日が出勤日となることがある。と言っても、多くの社員がこの日に有給休暇をあてて休むことが多く、通常は電話も鳴らずにかなり穏やかな1日となる。これがいつもの土曜出勤日ならね。しかし、この日はその数日前から非常に慌ただしかった。この日は火災の避難訓練、しかもこのフロアが出火元に選ばれてしまったから。

 部長が数日前にこの日の休みを宣言すると、「フロア隊長」の大任は副部長に回って来た。本来はフロア毎に自衛消防組織として、避難誘導班や初期消火班など決められているが、出勤している社員はいつもの4分の1程度であるため、自衛消防団は欠員だらけである。朝礼で臨時に若手社員を中心に配役の決められた。そして、総務部長をはじめ、スタッフが10時に現れ、下打ち合わせが始まった。

 さて、いよいよ訓練開始。13:45を機して、総務部長の合図宜しく、あらかじめ決められていた若手社員が「火事だ!。火事だ」と叫ぶ。ちょっと照れているようだ。続いて通報係が総務、消防署、警備室の順に電話を掛ける。数分前からそわそわしていた我々に隊長から「まだ逃げなくて良い。放送を聞いてから」と指示が飛ぶ。放送が入ると午前中に休みを取って、このタイミングから出社して来た社員などは午前中の準備の盛り上がりも知らないまま、席に着く暇もなく、「逃げるぞ!」と連れ出されていった。

 これから後の顛末はいつもの避難訓練と変わらないので、割愛。火元となった今回は自分自身何もやってはいないものの、家の近くで事件が起きたような感じで、逃げるまでのそわそわ感が最も印象深かった。それでも、せっかくなんで消防署員に教わったことを少々。「おさない、かけない、しゃべらない、もどらない」。それぞれ頭を取って、「おかしも」(「かけない」を「はしらない」にして、「おはしも」のケースもある)。小学校などでも教えているようだ。

(秀)


第370話 〜2000/10/23〜

■マスコミの天狗ぶり

 ここ数日、元スチュワーデス金髪女性失踪事件に関する下世話な報道が続いている。家宅捜索で金髪が見つかった。ビデオが見つかった。写真が見つかった。同じような危険な目に遭った金髪女性の発言。7つの偽名(一部には8つとも)を使い分けている話。我ながら、「良く知っているなあ」と感心している場合ではない。こんな捜査上の真実(であろうこと)がマスコミで報道されて良いのだろうか?。女性週刊誌には容疑者(と言われている男性)の学生時分の写真が掲載され、どこまでが信憑性のある取材による記事だか分からないが、かなりの量のページを割いて特集記事までも組まれていた。

 第一、容疑者とされている人間は他の準強制猥褻事件の容疑で逮捕されているわけで、現時点では本失踪事件の容疑者ではない。明らかな別件逮捕である。現時点で犯人と決め付けたような報道、それに必要以上の覗き見的な情報の商業主義的な開示。やや、マスコミの感覚が麻痺してそうな気がする。そのうちにこの容疑者と思われている男性のみならず、被害者の性癖をはじめとしたプライバシー部分の暴露合戦が始まりそうな危惧を感じる。今更ここで具体例を挙げて例示するつもりはないが、読者諸氏もそんな例としていくつかの事件を思い出すのではないか?。

 最近、マスコミはまた天狗になり過ぎている。芸能人や政治家のスキャンダルで彼らをバッシングし、そこそこの視聴率や部数を稼げていることに安住している。是々非々。悪いことは確かに悪い。しかし、報道が加害者に社会的制裁を加える正当性はない。また、被害者やその周辺の人々(遺族など)に、より深い精神的傷を与えることを何度も繰り返しておきながら、まだその態度を改めようとはしない。その一方で、本来国民として知っておくべきことが正しく報道されていない気がする。そんなスキャンダルの情報よりも今国会で話題になっている「非拘束名簿方式」のどこに問題点があるのかを分かりやすく報道して欲しい。

(秀)


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